キャンディーズのスーちゃんへ～万馬研太朗
「君と僕のコンチェルト」制作秘話 第1話
2011年の東北大震災の後、キャンディーズのスーちゃんが天国に旅立つ前に、私たち東北人にメッセージを残してくれました。私はその年の夏から秋へと無我夢中で生きてきて、ほっとした頃にまた冬が来ました。そしてまた落ち込んだ気持ちを抱えて毎日を生きるしかありませんでした。
寒さに震えながら自転車通勤の途中に、福島市大平寺のグランドにある36本のポプラの木を見るのが好きでした。強い北風に吹かれながら真っすぐに立っている姿に感動しながら、励まされているような気持ちになっていました。
そしてまた、あの3月が来る頃にはポプラを見るとスーちゃんを思い出し涙ぐんでしまうのです。ポプラの並木は何度も数えていて36本あったはずなのですが、数えなおすと35本しかないような気がするのです。もしかしたら無くなった1本は‥‥‥。
何かスーちゃんに捧げるような曲が作れたらなぁ。ぼんやり考えていると「テュテュテュルルルルン テュテュテュルルルルン」のフレーズが浮かんできたのです。その時はまだこれが「クラシック調」の曲になると思ってもいなかったのですが、ポプラの木と震災で会えなくなってしまった友だちを思って歌詞を書いてみることにしました。
キャンディーズの曲「涙の季節」にも「ポプラの木が震えてる」という歌詞がありますが、ポプラと言えば→落ち葉。落ち葉とくれば→「落ち葉のコンチェルト」。そうだ、コンチェルトをいただいて「君と僕のコンチェルト」にしよう。落ち葉をNGワードにして何を使えばいいかな？そうだ、落ち葉の反対は「若葉」だね。「若葉の頃」っていうビージーズの曲も素敵ですよね。
「夏が来たなら青空の雲つかまえられるほどに 若葉たち手を広げてる幸せな季節に」独りぼっちになった僕は１本2本3本4本と数えて、1本たりない事に気付いた時。その１本は君の影を数えていたのだろうか？スーちゃんがセンターで歌ってほしいと思う歌詞をいっぱい詰め込んでみました。「背高のっぽの」「スキップした」とか「まっすぐにしか生きられない君が好き」とか。
編曲は壮大なクラシック調。石井務さんのストリングス最高です！途中で追っかけてくるタンバリンも好きですよ。こんなにスケールの大きなクラシックになるとは思ってもみませんでしたので嬉しくて嬉しくて、スーちゃんを思い出せば悲しくて、感動の１曲になりました。また3月が来たらポプラの木があった場所を見ながら、天国のスーちゃんに届くようにイヤホーンじゃなくてスピーカーで聴いてみたいと思っています。
「ポプラの木があった場所」と書いてしまったのは、もう、あのポプラ並木は実在しません。何年か前に突然伐採されてしまったのです。今はパチンコ屋さんと駐車場になってしまいました。この曲の動画を作る前にポプラの木が無くなっちまった！動画師の彩玉ツ兄さんに「なんで撮っておかないの」「さあ どうすんじゃい」っていわれても「まさか無くなるなんて思ってもみないもの」その日そこ通ったら全部伐採されて丸太になっていたのです。続きは「キセキの動画撮影編」にご期待下さいませ。
プロフィール
万馬研太朗：福島県在住。多くの作品は福島や二本松を題材にして、演歌・歌謡曲・POPSの作詞・作曲を行っている。コミックソングも得意分野。演歌でも歌謡曲でもない、新しくもなく古くもない中間的なジャンルを提唱しており、中間歌謡曲と位置づけしている。すでに60作品以上YouTubeやニコニコ動画で配信されているが、代表作は「滝桜」「花筏～ハナイカダ」「黄昏のダンディ」「十三歳のサムライ」など。「イカニンジンの歌」は福島の地元アイドル「餃子っ娘ジュニア＆ひとくち餃子」に提供され、CMソングにも起用されている。また、自ら撮影した動画や写真は石井朗の名前で彩玉プロダクツへ提供している。
君と僕のコンチェルト 歌詞
こんなに強い北風の中 どうしてポプラの木は
まっすぐに立ってられるの とても強いんだね
1本 2本 3本 4本… 二人で数えた
36本数えて さよならした
君と僕のコンチェルト 今も聴こえる
テュテュテュルルルン テュテュテュルルルン
テュテュテュルル テュテュテュルル テュテュテュルルルン
今日も影を数えながら スキップした
あの冬の散歩道 今は一人歩く
夏が来たなら青空の雲 つかまえられる程に
若葉たち手を広げてる 幸せな季節に
1本 2本 3本 4本… 独りで数えた
35本数えて 終わりました
もう1本は君の影 背高ノッポの
テュテュテュルルルン テュテュテュルルルン
テュテュテュルル テュテュテュルル テュテュテュルルルン
まっすぐにしか生きられない 君が好き
もう一度会いたいの 今はどこにいるの
君と僕のコンチェルト 今も聴こえる
テュテュテュルルルン テュテュテュルルルン
テュテュテュルル テュテュテュルル テュテュテュルルルン
まっすぐにしか生きられない 君が好き
もう一度会いたいの 今はどこにいるの
もう一度会いたいの 今はどこにいるの
