いろいろな生き物たち ヘクサムシの宿
クマさんに出会った
「ある日森の中 クマさんに出会った」という曲がありますが、この曲を聞くたびに私はぞっと震えあがってしまいます。というのも2年前、福島市の弁天山の下を自転車で通りかかった時の事です。何か、道路の向う側からキレイな若い女性が手招きをしているのではありませんか。「えっ何?」これはもしかして、あの東国原英夫さんも引っかかりそうになったという「ハニートラップ」かい。でも、お色気というより、慌てているような只ならぬ感じです。左右を確認して道路を渡れば、私の居たあたりを指さして
「そこ、そこ、そこに熊がいましたっ‼」
「え~っ!」
「その茂みから顔出して、私と目が合って引っ込んだけどまだそこにいますよ。」「ひぇ~~本当ですかっ!?」
実は、この出来事に出くわす手前で、ちょっとしたゴタゴタがあって1~2分ロスしたおかげで命拾いです。手前のセブンイレブンで定型外の郵便物を出すのに、
「140円切手ちょうだい。」とアルバイトさんに。
「そんな切手はありません。」
「そしたら100円と10円4枚。」
「100円は無いので10円14枚でいいすか~?」
オイ、ちょっと待て~ィ、封筒に切手14枚も貼れますか。貼って貼れない事もないですがカンベンして下さい。「じゃ、どうしましょう」と言うので「84円と63円下さい」7円損しますけど、140円以上あれば間違いなく届きますから。と、ポストに入れて自転車でクマさんのいる弁天山の下を通りかかったのです。
もし、140円切手があったら私がクマさんと鉢合わせしていたでしょう。臆病な私は大声を上げるか、腰を抜かすかして襲われていたかも知れません。キレイな女性は冷静でした。通りかかった私を避難誘導してくれたのですから。時はゴールデンウイーク、弁天山には散歩している人も沢山いるはずです。警察に通報してくれました。すると、すぐに来ました来ました。交番が近いので2人のお巡りさんが5分ぐらいでやって来ました。クマが出たところで、お姉さんが状況を説明しているのを道路の向かい側で見ていると、
「あ~~っ」
黒いモノが動いているではありませんか。私は大声で、
「熊だ、熊だ~!」
と叫びましたが、バイパスを走る車の音で声が届きません。こっちを向いたお巡りさんに、
「上だ、上だ」と指さしたのですが、すぐ下からは上が見えません。今、あなた達のすぐ上に、
「クマがいるんですよ~」と。
やっと道路のこっち側に渡ってきたお巡りさんは、慌てて本署かどこかへ電話しまくります。そして、そのクマは午後の4時ごろ、市役所の駆除隊によって駆除されたそうです。それまで1人のケガ人も出なかったのが不思議なくらい、怖~い出来事でした。
イノシシなんて珍しくねェべ。
その年の秋には、会津若松ロケに帰りの磐越西線普通列車が中山宿駅近くでイノシシと衝突。缶チューハイでほろ酔いの所に、キィ~~ッと急ブレーキ。停止直前に「ゴン」と何かが当たった鈍い音が。乗客の1人が「またイノシシだべ。」
すると、社内アナウンス、
「線路上に2頭のイノシシを確認しまして急ブレーキをかけましたが、そのうちの1頭に衝突したもようです。これから安全確認のためしばらくお待ち下さいませ。」
との事。今年の10月20日にも新聞で見つけました。
我が家の前では、しなの君子さんが雉を見て驚いていましたが、最近はイノシシが走り回っています。生垣から急に飛び出してきてぶつかりそうになったり、キケンを感じたりしています。春はウグイス。どうも5~6羽が近くで鳴いているようですが、彼らは1羽のオスが5~6個の巣を掛け持ちするそうです。大変ですね。夏には、ジャングルクルーズみたいなギャ~ギャ~と鳴く鳥や、山鳩のカップル。道路では烏が空からクルミを落として、車に牽かせて割って食べています。そして夜中には琵琶の木から屋根に飛び降りて「ドン、バタバタバタ」とハクビシンが運動会かい。小川には蛍も。大雨の次の日には、大きな沢蟹が坂を上って来ました。さらにその茂みの下には、巨大なガマガエルが~‼。秋には、センサーライトが点くとタヌキが何匹も。落ちた柿を食いに来るようです。
いろんな生き物も頑張って生きているのでしょう。同じ地球上で仲良く暮らしていきたいものです。しか~し、こいつらだけは許せないのが「へクサムシ」だ。2階の窓の端っこにどっから来たのか、もう100匹ぐらい。昔、吾妻スカイラインの高湯ゲート近くの山小屋に芋煮会で泊まった時に、へクサムシの大群でパニックになった事がありました。それを元に「へクサムシの宿」を作ったのですが…。罪の意識を感じながらへクサムシをとっている毎日です。
ヘクサムシの宿 歌詞
秋深し街道宿場町 草鞋ぬぐ時 一人の僧侶が言った
この町では虫一匹 殺してなりません
風呂上がり熱燗一本つけ 眠りつくだけ
草木も眠るという 丑三つ時
それは起こった 地獄への入り口
何かが顔を横切る また戻って来た
無意識に平手打ち プニュっとつぶれた
ウッ何だ この臭いは ウッウッウ~~ 悶絶
ヘクサムシが一匹二匹 十匹百匹 千匹二千匹
部屋を埋め尽くし 宿を埋め尽くし
町を埋め尽くす 祟りじゃ~~
祟りじゃ~~ ヘクサムシの祟りじゃ~~
僧侶が叫ぶ地獄絵図 ヘクサムシの宿
夜が明けるのを待ちかねてた ヘクサムシたち
隣の城下町に飛んで行った お天道様に南無阿弥陀仏
白いもの好きな虫たちは 何処へ行くのか
紅い腰巻きよりも 白いフンドシ
大好きなのは お城の白い壁
へばり付いたらもう駄目 二度と離れない
退治しろ殿様が 踏みっ潰した
ウッ何だこの臭いは ウッウッウ~~ 落城
ヘクサムシが一万二万 十万百万 千万二千万
城を埋め尽くし 國を埋め尽くし
全て埋め尽くす 祟りじゃ~~
祟りじゃ~~ ヘクサムシの祟りじゃ~~
僧侶が叫ぶ断末魔 ヘクサムシの國
プロフィール
万馬研太朗:福島県在住。多くの作品は福島や二本松を題材にして、演歌・歌謡曲・POPSの作詞・作曲を行っている。コミックソングも得意分野。演歌でも歌謡曲でもない、新しくもなく古くもない中間的なジャンルを提唱しており、中間歌謡曲と位置づけしている。すでに60作品以上YouTubeやニコニコ動画で配信されているが、代表作は「滝桜」「花筏~ハナイカダ」「黄昏のダンディ」「十三歳のサムライ」など。「イカニンジンの歌」は福島の地元アイドル「餃子っ娘ジュニア&ひとくち餃子」に提供され、CMソングにも起用されている。また、自ら撮影した動画や写真は石井朗の名前で彩玉プロダクツへ提供している。