ツニーミュージックのブログ

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「サザンクロス」制作秘話

引っ越しで見つけたもの

 そろそろ年度末で、引越しのシーズンです。キャンディーズの「微笑み返し」という曲では、引っ越しの時に「タンスの陰で心細げに迷子になったハートのエースが出てきましたよ」と歌っています。「ハートのエースが出てこない」という曲のオチですね。 

 以前、我が家の引っ越しの時には、配偶者と娘が何かを見つけて大笑い!という場面がありました。本棚の下の隅っこから何かが出てきたらしいのです。「アハハハハ~、あの時せっかく買ったのに使わないからー!」と、私の頭を指差してまた二人で大笑いするではありませんか。「何だそれは!」ムッとしてそれを見ると……育毛剤×××薬か? トホホ…参りました。

 とにかく引っ越しでは、忘れていた何かが出てきます。今回は、編曲の石井務さんが、パソコンを新しくしてデータを引っ越しする時に出てきたものです。保存してある曲の中に、編曲済のなかなかいい曲を見つけたというのです。それが今回アップされ「サザンクロス」です。

 務さんには、この曲の歌詞が文学的だとのお褒めの言葉を頂きました。サザンクロスの花言葉の「遠い思い出」が1番の歌詞で、「願いを叶えて」が2番の歌詞で上手く表現されているというのです。ありがとうございます。そこまで歌詞を読み込んでくれる「編曲者」の作る音は確かに画が見えるようです。☆のような花をイメージしたティンクルベルとバイオリンのピッチカート奏法は最高です。

 この曲を作るきっかけは、よく家のポストに入っているフリーペーパーの「今月の花」のようなコーナーに「サザンクロス」を見つけた事からでした。ステキな花の名前なので、ロマンチックな設定をして、男と女が別れる場面を書く事にしました。男と女の別れの曲では、最近お亡くなりになった筒美京平さん作曲、阿久悠さん作詞の「また逢う日まで」が有名です。リズムっぽく尾崎紀世彦さんがいい声で歌っていますが、「サザンクロス」は、元気な曲ではなくロマンチックに、しっとり悲しい路線で行きたいと思いました。

 その編曲は、弦楽四重奏となってさらに甘く切なく仕上げてもらいました。これではやっぱり実写版の動画は撮れそうも無いので、またNannaさんにイラストお願いしましょう。字幕もツ兄さんが、横書きなので相当苦労したそうですが、それがまた楽しい時間のようなのでまたよろしくお願いいたします。

★えっ、私が鉢植えに水をあげたことがあるかって、そうですね、その花の名前は「シャコバサボテン」ぐらいか…… 枯らしちまったけど。 

youtu.be

サザンクロス  歌詞

 

窓辺の鉢植えの花 笑っているようだ

張りつめた別れ話は これで終わりにしよう

もうほら陽が陰るから 電車の時間だよ

思い出はほしい分だけ 持って行くがいい

愛しいけど 縺れた糸 もう解けないなら

ひと思いに切ってさよならすればいい

この花だけ置いて行くわ 枯らさないでと

星の形の花の名前は サザンクロス

 

黄昏 鉢植えの花 泣いているようだ

気まぐれな女心は いつもお手上げだから

そろそろ暗くなったから どこまで行っただろう

「着いたよ」と電話来るはず ないと知りながら

切ったはずの 縺れた糸 まだ繋がっている

言われたまま水をあげてるバカな俺

この花にも解るのかい 淋しい気持ちが

君の帰りを待っているのか サザンクロス

 

万馬研太朗福島県在住。多くの作品は福島や二本松を題材にして、演歌・歌謡曲・POPSの作詞・作曲を行っている。コミックソングも得意分野。演歌でも歌謡曲でもない、新しくもなく古くもない中間的なジャンルを提唱しており、中間歌謡曲と位置づけしている。すでに60作品以上YouTubeニコニコ動画で配信されているが、代表作は「滝桜」「花筏ハナイカダ」「黄昏のダンディ」「十三歳のサムライ」など。「イカニンジンの歌」は福島の地元アイドル「餃子っ娘ジュニア&ひとくち餃子」に提供され、CMソングにも起用されている。また、自ら撮影した動画や写真は石井朗の名前で彩玉プロダクツへ提供している。