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DTMのパソコン基礎知識について考える③~石井務

時代の後端を行くハイスペックマシン
 DTMを20年ぐらいやっていると、パソコンは時代によって進化し、音源も編集機能もだんだん良くなってきたと感じます。DTMを今から始めるのであれば、時代の最先端を行くハイスペックPCが欲しくなりますが、DTMで使用するDAW(音楽を制作するためのソフト)はバカ高いので、そう頻繁に買い替えるわけにはいきません。仮にパソコンは新しくなってもソフトは古いまま、多くの人はこれが現状ではないでしょうか。
 私の場合、インテル第3世代のパソコンを長らく愛用し、最近第7世代に切り替えました。しかし、使用しているDAWソフトはSinger Song WriterとStudio Oneのまま替えていません。新しいSiberiusやCubaseなど入れればそれだけで10万円以上掛かってしまいます。所詮アマチュアですから、お金をかければ良い作品が作れるとは限りません。あるものを生かす方が良いと考えています。
 かつて、これまで使っていたDAWが使用できなくなった経験があります。Encoreというソフトがとても使いやすく、楽譜がとてもキレイに印刷できていました。それがWindows7以降使えなくなってしまったのです。Singer Song Writerでも楽譜印刷機能はついていますが、Encoreほどキレイには印刷できません。最先端・多機能のSiberiusを使用すれば、打ち込みも印刷も良いものになりますが、才能もお金も貧乏な私に、さすがに7万円はきつ過ぎます。
 そこで思いついたのが、「時代の後端を行くハイスペックマシン」の制作でした。10年昔にハイスペックで高価なため手が届かなかった材料を、今安価に入手して、ハイスペックなWindows XPのパソコンを制作するというもの。今なら数千円で手に入るスペックでも、当時は十数万円掛ったわけです。昔使っていたEncoreを当時の最先端ハイスペックPCで再現すれば、かなり良い制作環境が構築できると思いました。

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材料の調達
 我が家にはパソコンが何台かあります。自分の制作用メインPC、外出用ノートPC、オーディオ用サブPC、妻のノートPC、娘のPC・・・その全てのストレージをHDDからSSDへ変更したため、HDDがたくさん余っていました。「もったいない、所詮時代遅れのXPを使うのだから、SSDにする必要はない。」他にも自作PCのためにとってあったメモリーなども余っていました。これらを何とか使おうと決めて、中古市場を調べていました。すると、ストレージ無し、メモリー2GB、Atom330搭載のmini-ITX(超小型2009年製)パソコンが売りに出ていました。なんと、¥2100円!さらに、Windows XPは¥2200円で入手できた。(これが後に悲劇を生む。)費用はたった¥4300円‼。余っていたメモリーを加えて4GBに、HDDは余っていた160GBを2台使用してハイスペックに。こんなに安く当時のハイスペックマシンが入手できるから、自作PCは病みつきになります。7万円のSiberiusなんてバカらしい。ちなみに、私のオーディオ用サブPCも¥1000円で入手したものです。15~6年前の26インチワイドモニター・Pentium4搭載一体型PCで、発売当時価格¥33万円のものです。ネットには繋がず、ケーブルテレビを接続する環境で、ステレオ代わりに音楽を聴いたりテレビを見たりするだけなので、かなりお買い得でした。もともと¥33万円だけあって、かなり良い音がしますよ。

知っておきたいパソコンの知識~RAIDとは
 10年前のハイスペックPCにRAID(レイド)機能がついています。HDDを2台組み合わせて使うという機能です。RAIDにはいくつか種類があって、HDDを速くするけど壊れやすいRAID0とHDDの速さは変わらず壊れた時の補償をするRAID1というものがあります。他にもRAID○○といういくつもの種類がありますが、ここではRAID0と1の違いについて少し詳しく述べていきます。

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 RAID0では、元のデーターを分割して2台のHDDに分けて記録するため、情報処理は速くなります。そのかわり、どちらか1台のHDDが壊れると全て失われるので、故障のリスクは高くなります。
 RAID1では、元のデーターを2台にそのまま記録します。処理の時間が長くなり、全体のHDD容量も少なくなります。しかし、どちらか1台のHDDが壊れてもデーターはもう一方が補償しているので、故障のリスクを回避することができます。
 サーバーやワークステーションなど、稼働時間が連続かつ長時間の環境ではRAID1が有用でしょうが、私のように、たまに古いパソコンで効率よく作業しようと思っている人にとってはRAID0が有用だと思います。所詮、楽譜印刷に特化したマシンを作るだけですから。速いということが何よりの魅力です。

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実際に組んでみる
 今回購入したmini-ITXパソコンというのは、標準のマザーボードよりかなり小さいので、小さいケースでかわいらしく作ることができます。このパソコンケースはもともと全面の蓋が壊れていました。どうせDVDドライブは使わなくてもいいので、ここは見た目重視。接着剤で蓋を塞いでしまいました。DVDドライブは外してフリマで売ってしまいましょう。
 小さいケースなのでストレージは標準の3.5インチHDDを搭載できませんが、さすがはハイスペック仕様だけあって、最初から2.5インチHDDを2台搭載できるように設計されていました。これは嬉しい!しかし配線してみると箱の中はギュウギュウ詰め。それでも押し込んで完成すると、なんてカッコ良いでしょう!大満足の出来栄えです。
 注文したWindows XPが納品される前にWindows10をRAID0で仮インストールし、問題なく起動できました。さすがにWindows10では動きが重いように感じます。

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RAID0の速度を検証する
 今回は、家に余っていたノートパソコン用2.5インチ160GBのHDDを2台使用してRAID0を組んでいます。2台を1台としてパソコンに認識させるので、320GBの大容量になります。2.5インチのHDDはもともと標準の3.5インチHDDに比べると速度が遅いものです。これをRAID0にしても、下の図のように、SSDには遥かに及ばない速度です。期待したほどではないですね。それでも読み込みで100MB/sを超えているので、もっさりとした動きですが、たまに使用する分には支障がない程度の速度になりました。

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(左)RAIDなし、(右)RAID


話が長くなったので、続きは「DTMのパソコン基礎知識について考える④~悲劇のXP」で。

プロフィール

石井務:長野県在住。福島県生まれ。ツニーミュージック作品全般で、編曲やミキシングを担当している。作曲も手掛け、「Fine ski holiday」「小さな紫色の花束に添えて」「飛べるよ、いつか」「ざくざく~二本松」などがある。また、てぃ~あいの名前で、「よい子に贈るよい子の歌集」ではコーラスを、「農民画家」ではチェロを担当している。

DTM作品例 看板娘と王子様

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