ツニーミュージックのブログ

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DTMのパソコン基礎知識について考える②~石井務

 前回は、CPU、メモリー、ストレージについて書いてきました。今回は、実際にパソコンが壊れた場合の対処例について、私の経験から書いていきたいと思います。
 パソコンが壊れる場合、CPU(頭脳)、メモリー(短期記憶)、ストレージ(長期記憶)、マザーボード(身体)、グラボ(GPU)&モニター(目)、光学ドライブ(耳や口)、電源(心臓・血液)、キーボードやマウス(手足)といった部品を交換するだけで済むわけですから難しい話ではありません。しかし、マザーボードは特別で、ただ交換しただけではうまく機能しない場合があります。多くはWindowsが認証されない場合や、アプリケーションがアクティベートされない場合など、人で言えば拒絶反応が出てしまいます。DTMでソフトが使えなくなるのは致命的です。

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マザーボード

 【パソコンが立ち上がらない】
 私の場合、H77チップセット搭載ATX、第3世代core i7のパソコンをメイン機として使用していました。壊れる数日前から起動時の画面で、マザーボードのメーカー名(ASRock)が表示されなくなり、暗号のような画面が出てから立ち上がっていました。それでも、起動するなら良いと思って使い続けていると、ある日突然起動しなくなりました。「原因はグラボ(GPU)か、電池か、マザボか、CPUか・・・?」原因を探るべく、まずはグラボ(GPU)を外してマザーボードに直接モニターをつないで確認・・・ダメです。次に内蔵電池(ボタン電池)を買ってきて交換して確認・・・ダメです。CPUや電源よりも寿命が短いマザーボードを疑って新品を探すと、今売られている第3世代対応は限られていて、B75チップセット搭載のmATX(格下で一回り小さいマザーボード)しかありませんでした。文句も言っていられないので、交換してみるとすんなり起動しました。しかし、すぐにはWindowsが認証されませんでした。

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 【マザーボード交換後の認証】
 ちょっと前までは、マザーボードを交換する度にWindowsが別の人格と判断し、「認証されていません」と必ず出てしまい、その度に高価なOSを購入する必要がありました。しかし、Windows10は、Microsoftアカウントに紐づけされているので、いちいち購入しなくても、ちょっと設定をいじる程度ですぐに認証されます。スタートアップ⇒設定⇒更新とセキュリティ⇒ライセンスの認証と進めていきます。
 マザーボードの交換など、ハードウェアを大幅に変更した場合、パソコンでWindows 10 がライセンス認証されていない状態になり、何らかのライセンス認証エラーコード(暗号みたいな数字)が表示されます。 Windows 10を立ち上げてMicrosoftアカウントを新しいデバイスに追加した場合は、デジタルライセンスがそのままパソコンにリンクされるはずなので、エラーコードが表示された場合は、ライセンス認証のトラブルシューティングツールを使用してWindowsのライセンス認証をもう一度行います。
 実行中「ハードウェアを大幅に変更しましたか」と聞かれて、「はい」を選択しても認証されない場合、これまで使用していたパソコンのプロダクトキーを打ち直すとあっさり解決できます。

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【う~ん。なんとなくしっくりこない】
 この時は、問題なく全てのソフトが使用できました。それでも、「う~ん。なんとなくしっくりこない。」格下のマザーボードへ交換したため、これまで高速に読み込んでいた音楽データーの読み込みが著しく遅くなったのです。その理由は、H77搭載の格上マザーボードでは、ストレージを接続しているSATAが6Gbps(SATAⅢ、600MB/s)だったのに対し、B75搭載の格下マザーボードでは3Gbps(SATAⅡ、300MB/s)なのです。「どうも気に入らない。。。」万馬研太朗さんに作品を仕上げるようにあおられていても、どうも作業をする気にもなれず、ヤフオクを見ていると、なんと!新品H110チップセット搭載、第7世代対応のマザーボードが、わずか¥4,000円で売りに出ているではないですか!後先考えず、購入。「さて、CPUとメモリーをどうするか。」妻に内緒で、第7世代core i7DDR4メモリー8GB×2を中古で購入。「高いな~、分割だ。」これまで使っていたパソコンケースで、新旧を交換し、配線・ドライバーインストールであっさり問題なく起動しました。なぜかこの時はライセンス認証がすんなり通りました。
 CPUが第3世代から第7世代に替わって演算処理が速くなり、メモリーも同じ16GBでも1333MHzから2400MHzになったので処理が速くなり、SSDもキャッシュをメモリーに依存する設定なので、メモリーが速くなった分、読み込みや書き込みも速くなりました。「おおお~素晴らしい!」

【しかし、ここでも問題が】
 DTMのソフトは、たいていの場合1台のパソコンにしか使われないようにアクティベートされています。マザーボードを交換した場合でもストレージをそのまま移して、ドライバーをインストールすれば、概ね使用できます。しかし、ソフトによってはその都度アクティベートを求めてくるものもあります。ここでは、ミキシングに使用しているStudio Oneが「アクティベートの上限になっています。」と表示され、使用できなくなりました。「さすがに、困った~」ちょうど、「ひょん」の制作真最中。歌とギターとチェロのミキシングがメインの作業だったのです。「万馬さんには、ひとまず内緒にしておかないと。」
 サポートに連絡し、アクティベート上限を解除してもらいたいと伝えると、「サイトから使用しないパソコンのアクティベートをご自身で削除してください。」と連絡がありました。早速方法に従って行ってみると、無事にStudio Oneが使用できるようになりました。「ああ、焦った、焦った。」わからなかったら問い合わせることも大事ですね。その度に新しいのを購入していたらお金が無駄です。

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【外した材料で1台組む】
 ちょうど同じ時期に、娘が使っているパソコンの調子が悪いと訴えてきました。iTuneが重たくて使えなくなったとか。これまで私が使ってきたCPUとメモリー、購入したばかりのマザーボードがそのまま残っていたので、これで1台組み、今までの娘のパソコンを売りに出すことに。電源や光学ドライブ、ファンなどはジャンクで購入したものが残っていました。パソコンケースは汚れた中古を購入。バスマジックリンで丁寧に丸洗いで汚れを落とし、新品同様に組み上げました。ストレージもこの機会にHDDからSSDに交換し、Windows10をクリーンインストールして、引っ越しソフトでアプリケーションソフトまるごと移行しました。完成品は「実にカッコいい!」
 写真はその時の、仮組品・洗浄前後・完成品です。これまでの娘のパソコンは、ドキュメント等を完全消去してもWindows10はそのまま使えるので、完動品としてすぐに売りに出せました。めでたし、めでたし。

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DTM作品「Guilty」~パソコンがぶっ壊れたり、完全消去したり…

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プロフィール
石井務:長野県在住。福島県生まれ。ツニーミュージック作品全般で、編曲やミキシングを担当している。作曲も手掛け、「Fine ski holiday」「小さな紫色の花束に添えて」「飛べるよ、いつか」「ざくざく~二本松」などがある。また、てぃ~あいの名前で、「よい子に贈るよい子の歌集」ではコーラスを、「農民画家」ではチェロを担当している。