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DTMのパソコン基礎知識について考える~石井務

【はじめに】

 DTM(デスクトップ・ミュージック)を行うにはパソコンは欠かせません。音楽や動画を制作中、パソコンが動かなくなるなんてことは多々あります。そのため、DTMをする人は、少なからずパソコンを自分で修理できるぐらいの基礎知識は必要になってくると思います。今回は、私の経験上DTMに必要なパソコンの基礎知識について書いてみたいと思います。
 パソコンに必要な部品は、CPU(頭脳)、メモリー(短期記憶)、ストレージ(長期記憶)、マザーボード(身体)、GPU&モニター(目)、光学ドライブ(耳や口)、電源(心臓・血液)、キーボードやマウス(手足)・・・などです。重要なのはCPUとメモリー、そしてストレージです。
 市販されているパソコンでDTMを始めた時に、「処理に時間がかかるなぁ」と感じた時は自分でCPUとメモリーを交換する必要があります。さらに、読み込みが遅いと感じる場合、ストレージもハードディスクからSSDに交換する必要もあります。これらは部品を交換するだけなので容易な作業ですが、部品を選ぶ時に間違えて選んでしまうと起動しなくなります。
【CPU】
 市販品ではインテル製CPUを搭載しているパソコンが主流です。他にはAMDというメーカーのものもあります。AMDは比較的安価ですが、GPU(グラフィックボード)をそれなりの価格の物で用意する必要があるため、初心者がDTMを始める場合はインテル製のCPUを搭載しているパソコンのほうがお勧めです。
 インテル製CPUは、セレロン(cerelon)⇒ペンティアムpentium)⇒core i3core i5core i7core i9ジーオン(xeon)というグレードがあります。安いセレロンでもDTMを行うには充分ですが、マルチトラック編集を行う場合処理能力が追いつかない場合もあります。ジーオンはサーバーやワークステーションなど企業向けなので手を出さないほうがいいです。世代はともかく、coreシリーズを選びましょう。

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 CPUには世代があります。世代が違うとCPUソケットが合わなかったり、BIOSが対応しなかったりします。世代は、core i○○ ××××という×に記された数字最初の番号で見分けがつきます。第1世代では3桁、第2世代i7なら2600等の「2」が世代になります。
 CPUソケットはLGA○○○○という4桁の数字で表記されています。第2世代ならLGA1155、第4世代ならLGA1150、第6~8世代ならLGA1151などです。同じ世代でも第3世代のようにLGA1155とLGA2011があったりします。また、同じLGA1151の場合でも、第6世代のマザーボードでは第8世代が動かない場合もあるので、この場合BIOSを変更する必要が出てきます。自分で交換する場合、マザーボードのCPUソケットやBIOSバージョンを必ず確認して購入しなければなりません。

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 交換方法は簡単です。①電源を切り、パソコンのサイドパネルを開ける。②静電気を遮断するために薄手のポリ手袋をつける。③CPUクーラーの電源ソケットを外し、本体を取り外す。④レバーを押してから引き上げ、CPU固定カバーを持ち上げる。⑤矢印の向きを確認してCPUを交換する。⑥固定カバーを戻す。⑦米粒大のCPUグリスを塗り広げる。⑧CPUクーラーを元に戻す。⑨サイドパネルを戻す。⑩電源を入れた時に「DELまたはF2キー」を連打し、BIOSを立ち上げる。BIOS画面でCPUが新しいもので認識されていれば、そのまま設定を保存して終了してください。
 要らなくなったCPUは、キーホルダーにして売ってしまいましょう。(笑)

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【メモリー

 DTMで重要なのはメモリーの容量です。2GB~4GBでも作成できますが、音源を入れて再生すると音飛びやフリーズすることもあります。また、マルチトラック編集をするとフリーズ必至です。最低でも8GB、16GB以上をお勧めします。
 メモリーの規格はDDR〇という数値で表現されています。数字が小さいほど古い規格です。しかし、CPUによって対応する規格が違うので、確認して購入する必要があります。例えば、第3世代CPUではDDR3、第7世代ではDDR4になります。
 メモリー性能はMHzで表示されています。数字が大きいほど処理速度が速いです。しかし、これもCPUによって対応しない場合があります。CPUは第2世代core i7と第3世代core i7がLGA1155で同じマザーボードで動作しますが、メモリーは第2世代が1333MHzまで、第3世代が1600MHzまで使用できます。また、最近の世代ではメモリーのOC(オーバークロック)に対応するCPUも増えていますが、DTMを行う上でOCは必要ありません。

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【ストレージの交換】
 HDD(ハードディスク)とSSDは長所と短所があります。最近のSSDは価格も安くなり、寿命も延びてきました。ストレージの交換は簡単なので、DTMを行う場合、知っておいたほうが良い知識です。
 HDDは読込・書込速度がSSDよりも遅いという短所があります。しかし長所としては、壊れる前にはエラーが頻発するなどの前兆があり、仮に壊れた場合でもデーターがディスクに残っているので、復旧できたりします。価格も安価です。SSDは読込・書込の速度が速く、ストレスが無い長所があります。しかし、突然死するという致命的な短所があります。読み書きの総バイト数でおおよその寿命が決まります。DTMでは大きなサイズの音楽ファイルを扱うことが多いので、必ずバックアップを取っておく方が良いでしょう。

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 交換方法は、まずSSDクローンを作成します。①SATAケーブルや別売りの外部SSD2.5インチUSBケースなどでSSDマザーボードへ接続する。②SSDはすぐにパソコンには認識されないので、Windowsのディスクの管理からSSDをフォーマットする。③フリーソフトの「EaseUS Todo Backup」(リンク参照)をダウンロードする。④SSDクローンを作成。コピー元をHDD、コピー先をSSDにして、「SSDに最適化する」を必ずチェックし開始。⑤2時間~半日でクローンが出来上がります。

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 本体への取り付けは、①電源を切り、パソコンのサイドパネルを開ける。②静電気を遮断するために薄手のポリ手袋をつける。③HDDのSATAケーブルとSATA電源を外す。③サイドから固定されているネジを外し、HDDを取り出す。④SSDを別売りの2.5⇒3.5インチ金具に固定する。⑤HDDを外した順序と逆の順序で固定し、SATAケーブルとSATA電源をつける。⑥普通に電源を入れるとWindowsが起動します。2回目以降はメッチャ高速になりますよ。
 先日、私のDTM用パソコンのマザーボードが壊れました。落ち着いて交換したので、今は問題なく使用できています。機会があればこのようなトラブルの解決方法についてもブログに掲載したいと思います。質問やご意見があれば、コメントでお知らせください。

DTM作品例 

「細かすぎる男」万馬研太朗【GUMI&ZOLA

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プロフィール
石井務:長野県在住。福島県生まれ。ツニーミュージック作品全般で、編曲やミキシングを担当している。作曲も手掛け、「Fine ski holiday」「小さな紫色の花束に添えて」「飛べるよ、いつか」「ざくざく~二本松」などがある。また、てぃ~あいの名前で、「よい子に贈るよい子の歌集」ではコーラスを、「農民画家」ではチェロを担当している。