ツニーミュージックのブログ

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「峠のレストラン」制作秘話(後編)ツ兄さん、石井務

「時間がかかってしまったロケと製作」

 彩玉プロダクツ ツ兄さん
波 「今日は、「峠のレストラン」制作秘話(後編)ということで、彩玉プロダクツと長野スタジオにお邪魔しました。はじめに、彩玉プロダクツのツ兄さんです。よろしくお願いします。ようやく「峠のレストラン」ができましたね!」
ツ兄「お待たせしました。なんとか皆さんのおかげで仕上げることができました。」
波 「レストランの撮影が大変だったとか?」
ツ兄「そうですね。7月の下旬ごろ埼玉県飯能市にある正丸峠へロケに出かけました。しかしイメージのレストランは見つからず、帰りの途中、別の峠へ。それがベラヴィスタさんを見つけることとなった顔振峠です。なかなかいい雰囲気。でも、営業開始まで2時間もあるのです。それにどんより曇っていたのですが、一応撮影しました。まして、ビデオカメラを車のシートに固定して撮ったのであっちへ行ったりこっちへ行ったりで使えません。それじゃあと、ネットショップでアクションカメラの購入を決意しました。8月に入り、長野スタジオより、本宮政樹さんがクロマキー撮影と音入れを終了したとの連絡がありました。」
波 「彩玉プロダクツの作業以外はクランクアップしてしまったんですね。」
ツ兄「そう、追い詰められてきました。だってまだ、肝心のレストランのロケが終わってないんですよ。福島へ帰省の時に探し回りましたが、目当ての店が休みで見つからず。でも、撮りためたものの中から後で使えるカットがあるといいな、なんて思いながらアクションカメラをドライブレコーダーみたいに取り付けて!」
波 「それで再び顔振峠のベラヴィスタさんへ行くんですね。」
ツ兄「今度は8月下旬の水曜日に二度目の顔振峠へいざ出発!というものの、朝から雲が怪しくなってきました。休みを取った以上なんらかの成果を上げなければと…。峠の坂を登っていくうちにポツポツと雨粒が降ってきました。そうですよね。標高が高くなればなるほど天候は変るって!最初から曇っていましたが。」
波 「それじゃ撮影はどうなったんですか?」
ツ兄「道すがら撮影はしましたが雨模様で気も失せていました。それよりも、店内の撮影ができるかどうかです。ドアを開けていざ中へ。品のよさそうなオーナーとテラスからの眺めとほっとできる雰囲気でした。それこそナチュラル空間でしたね。いきなり撮影許可のことは切り出せず、おすすめのパスタの季節野菜のトマトソースを注文しました。おいしかったのですが、撮影のアポの件で緊張していてなかなかのどを通らなかったです。完食してからコーヒー頼んで。」
波 「おすすめのハーブティーじゃなくて?」
ツ兄「『コーヒー飲んだという』歌詞がでてくるので。と言いながら撮影する気持ちにはなれず。許可もまだだしね。そのあと店主から「今日はあいにくの天気ですね。晴れている日は富士山も見えるんですよ。」と。それをきっかけに、撮影の話へと「峠のレストラン」CDと歌詞を渡して、初めてきた7月に撮った道と建物に本宮さんを重ねて字幕を入れた、プロトタイプの映像「峠のレストラン」を見てもらいOKをいただきました。嬉しさのあまりに店内の撮影も忘れました。店主は、「ただ、こんな天候の景色を公開して欲しくありません。この景色が売りの店ですから。日曜祝日は、ほかのお客さんに迷惑がかかるのでご遠慮ください。」とのこと。それじゃ改めて平日に休みを取ってかな…。「天は我々を見放した。」と万馬さんにメールをしました。そうしたら「見放してないよ。OKとれただけで大収穫だよ。」と言われ、ホッとしました。」
波 「それからだいぶ経ちましたよね。」
ツ兄「一か月ちょいですかね。休みを取るタイミングと台風などで天気が悪く延びのびに。10月初旬の連休の日曜日に天気が良さそうなので行ってみました。外観を撮影した後、ベラヴィスタさんのドアを開けました。「今日は良い天気で富士山も見えますよ。」雪化粧する前の富士山が頭を出していました。まだ準備中だったのを幸いに撮影をさせていただきました。コーヒーもいただいて。さっそく編集へと急いで帰る途中、「カウンターに落ちたのは 涙ふたつぶ」を撮るのを忘れていたのを思い出しましたが、戻る時間ももったいないので他のカットを使うことにしました。」
波 「編集はどうでしたか?」
ツ兄「思うように運ばずたいへんでした。長野スタジオの石井さんにチェックをしてもらったところ、「曲で一番の泣き所。同じようなカットが続いているので、トンネルのカットを入れて場面転換をしてはどうか。」と提案がありました。」
波 「それが、あのトンネルですか?」
ツ兄「最初は顔振峠へ登る途中の吾野(あがの)トンネルを使おうかと思いました。しかし、出口に信号があり、渋滞でスムーズにホワイトアウトができずに諦めました。でも、アクションカメラで撮りためた中に福島の49号線の中山トンネルがありました。これを使ったのも万馬さんとの思いがそうさせたのかもしれませんね。そうこうしているうちに、なんとか完成しました。」
波 「じゃ、あとは、ベラヴィスタさんの認可ですね。」
ツ兄「撮影から2週間後です。顔振峠へ「峠のレストラン」DVDとタブレットに入れた動画を持ってベラヴィスタさんへお邪魔しました。その日は非常に良い天気で、青く澄み渡りで白い富士山も綺麗に見えていました。残念、こんなきれいな景色で製作したかったと。オーナーやスタッフの方に見ていただいたら、「これならOK」と喜んでいただきました。おまけに、アイスコーヒーまでごちそうになりました。ありがとうございました。そんな話を後日、万馬さんにしてみると「そんなにいい景色なら差し替えると思った。」と言われてしまいました。その時は朝方まで持って行くDVD製作で手いっぱい。天気を気にしてカメラを持っていく余裕なんてありませんでしたよ。」
波 「ツ兄さん、お疲れさまでした。ありがとうございます。」

「クロマキー撮影と収録…実は」

 長野スタジオ 石井務
波 「続きまして、長野スタジオの石井務さんです。よろしくお願いします。ツ兄さんから8月には仕上がっていたと聞きましたが?」
石井「編曲はだいぶ前で、2016年の録れコンにボカロ(VY2)で応募していました。ノミネートはされませんでしたが、かなり高評価だったので、その頃から早く動画として投稿したかったのですが、万馬さんから「題材のレストランはもう無くなってしまったので、難しいんじゃないか。」と言われていました。この話が進んだのは「ピロリ菌の女」が世に出て、次どうするとなってからですね。はじめはホールで歌っているところを収録しようか、とも話していました。」
波 「ということは、今年の7月に企画されて8月に収録したということですね。」
石井「7月上旬に本宮政樹さんに音源を渡したら、その翌週にはもう覚えてしまったと連絡がありました。すぐに収録することもできたんですが、ツ兄さんが背景動画を撮ることになったので慌てることはないと思い、本宮さんの都合がいい日に合わせて8月に収録しました。」
波 「かなり暑い時期ですね。撮影と録音は同じ日に行ったのですか?」
石井「はい。はじめにクロマキー動画の撮影から行いました。カラオケ動画を見ながら喉慣らしを兼ねて歌ってもらって、いろいろなアングルと衣装で撮影しました。黒の衣装以外にいろいろ着てもらって撮影したんですが、ツ兄さんがほとんどボツにしましたね。」
波 「監督の権限ですから、仕方ありませんね。」
石井「実は、この動画に映っていない人物の撮影もしていました。」
波 「え?出演者がもう一人ですか?」
石井「はい。しなの君子さんがエプロン姿で、何カットも撮影しました。実は、この撮影のほうに時間がかかったんですよ。(笑)」
波 「あらら、それは気の毒だなぁ。」
石井「エプロンや小道具など10着以上も用意して、場面ごとに、回想するシーンやすれ違って振り返るシーンなど、細部の演出も加えました。試作品を編集して、ツ兄さんに送ったところ…。」
波 「そこまでして、どうして採用されなかったんですか?」
石井「まるで寸劇ですね。「この作品はシリアスな作品だから、コミックにはしたくない。「ハナイカダ」みたいに本人と美しい背景動画で仕上げたい。」と注文が入り、お蔵入りになりました。」
波 「君子さんは納得したのですか?」
石井「試作品を見てもらって、作品の趣旨を話したら納得してもらえました。私は良いと思ったんですがねぇ。結果的に出演はしていませんが、この作品にツニーミュージックの全員が関わることができたので、良かったと思っています。」
波 「録音のほうはどうでしたか?」
石井「さすが、本宮政樹さんです。3回通しで歌ってもらってOKにしました。音程もリズムも完璧で、演歌でもポップスでもない中間歌謡曲としての雰囲気がとても良い感じに仕上がったと思います。録音中はエアコンを入れられないので、実力派歌手だとありがたいですね。MIXも本人の声に合わせて微調整しただけですぐに完成しました。」
波 「今後の予定は決まっていますか?」
石井「今、私の体調がすぐれないので、ゆっくりと進めると思います。しなの君子作品で男性ボーカルの曲もありますし、万馬研太朗作品でデュエット曲もあります。企画は多いのですが、私がついていけるかどうかですね。」
波 「石井さん、ありがとうございました。」

プロフィール
彩玉プロダクツ(ツ兄):ツニーミュージックの動画制作を担当している。実写とカラオケ風の字幕にこだわりを持って制作している。「滝桜」「十三歳のサムライ」「黄昏のダンディ」などの美しい実写映像を手掛けるが、コラボ作品の「BLACK&WHITE」ではイラスト動画にも挑戦している。本名、石井常夫。ツニーミュージックの名付け親でもあり、メンバーから「ツ兄さん」と呼ばれている。
石井務:長野県在住。福島県生まれ。ツニーミュージック作品全般で、編曲やミキシングを担当している。作曲も手掛け、「Fine ski holiday」「小さな紫色の花束に添えて」「飛べるよ、いつか」「ざくざく~二本松」などがある。また、てぃ~あいの名前で、「よい子に贈るよい子の歌集」ではコーラスを、「農民画家」ではチェロを担当している。

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峠のレストラン 歌詞
ふっと思い出したから 寄ってみたのさ峠のレストラン
小さな白い洒落たお店は あの日と同じ佇まい
若い頃の君とそっくりな 娘はエプロン薄いピンク
あの頃の春の陽射しを 思い出させるのさ
二枚目の演歌歌手が コーヒー飲んだという席で
俺もその気でタバコを吸えば
あなたも嘘をついてるのねと 君が笑って言ったっけ
灰皿には 折れたタバコの吸殻二本

今日で終わると聞いたから 飛んで来たのさ思い出レストラン
高速道路できてからだね 淋しくなってしまったね
若い頃の君に恋してた 大雪で峠越せぬ夜
二人きり飲み明かした 思い出があるのさ
幸せに暮らしてると 風の噂に聞いたから
俺は遠くで見守るだけさ
時代はいつも変わるだけだわ きみが寂しくつぶやいて
カウンターに落ちたのは 涙ふたつぶ
 
幸せにすると言って 君を奪っていたならば
今頃二人どうしてたのか
思っただけで悲しすぎるよ 時は流れて行くばかり
窓の外は 紅く染まった紅葉が散る秋
窓の外は 紅く染まった紅葉が散る秋